2013年7月 第37回「KKFCやってみよう会」 会合報告

 

里見裕之さん・わが人生を語る

 

 春ごろから木村塾の塾生として、やってみよう会を始め、パワーアップや大阪木村塾にしばしば姿をお見かけする御仁。寡黙だけど、一旦話してみれば海外ビジネスの体験で積み上げた話題は尽きることなく、フレンドリーな性格ともあいまって人々を魅了します。今月の「わが人生を語る」は、東大阪市で自動車関連事業や海外輸出入事業を行う「有限会社ダイエイインターナショナル」の代表者、里見裕之さんです。

里見さんは1947年、大阪生まれ。サラリーマンの家庭に育った。
中学卒業後、専門学校で自動車整備の技術を身につけ大手タクシー会社で車の整備士に。実は起業家スピリッツはその頃から内在していた。レンタカー会社を経て、28歳の時に里見さんを慕う部下1人を引き連れ、東大阪で60坪の土地を借りて自動車修理工場を開業。

「ところが仕事がなくて」

やむなく、当時としては破格の時給2000円という会社をみつけ、そこに勤務する傍ら社長に土下座して修理の仕事をもらった。
「6カ月やってみてダメなら撤退しようと思ったのが、未だに続いているんです」と笑う里見さん。修理工場は今も健在だ。

 

●メシのタネを求めて世界に進出


20年ほど前から新規事業として海外向けの中古車販売に乗り出した。最初はメッカといわれる富山に店を構えたが、そのうち市場を求めて自ら世界に出た。
イギリス、アイルランド、ドバイ、ケニア、ウガンダ、タンザニア、モンゴル・・・北米やニュージーランドにも出かけた。
車は売れたが、インターネットの普及と共に中古車販売のスタイルも変化の時を迎えていた。「いずれ頭打ち」と察知した里見さんは、次なるビジネスを求めて嗅覚を磨いた。

バングラディシュにメシのタネを見つけたのは「たまたま」だ。福の神は奥様。親友のご主人がバングラ出身だった。その人が現在、里見さんの下で右腕として働くスタッフの沢田イスラムさん。沢田さんのツテでバングラを訪れるうちに、後のビジネスパートナーとなるベイベックさんとつながった。現地で診療所を開く医師でもあるベイベックさんは、自費で子どもたちの学校もつくる篤志家だ。

 

最初に起こした事業は写真フィルムの販売だった。中国で製造された日本の有名ブランドのフィルムをオリジナルパッケージに入れて売る。アイデアは良かったがすぐに大資本の会社にマネされた。 何しろ世界一の人口密度を誇るバングラディシュ。北海道ほどの面積に1億6000万が住み若者が多い。世界で最も開発の遅れた国に数えられながら、一方では急成長が期待される国に選ばれている。メシのタネはいくらでもある。土地も人件費も安く、現地では日本人1人分の賃金で100人雇える。国民性も親日的で穏やかだ。

 

●「やってみてアカンかったらすぐに修正すればいい」

2番目に取りかかったのは立体駐車場の製造だった。インテックス会場で目を付けた製品で電気を使わないエコロジー仕様だ。これならバングラディシュで製造できる。交渉の末、製造業務委託契約にこぎつけたが肝心の現地工場が見つからない。営業活動を続けるうちに、軍の工場を提供するという話になった。「日本というだけで信頼を獲得できるのです」と里見さんはいう。これを機に合金・鋳造の仕事も依頼された。難破船の中から金属を集め不純物を取り除いて鉄を抽出するという事業だ。
もちろん全てうまくいったわけではない。しかし、失敗しても次のチャンスが訪れる。
「やってみてアカンかったらすぐに修正すればいい」が、里見流ビジネスの肝だ。

 

2004年、本業である自動車修理の部門でもバングラに拠点をつくった。
首都のダッカ郊外に中古の工場物件を見つけると、日本からスタッフを呼び自分たちの手でリフォームした。
バングラでは一般市民が車を持つことは少ないが、一部の富裕者層が所有している。トヨタもニッサンもある。修理工場にはそうしたハイクラスの人たちが集まり、有力な情報が集まってきた。いま、里見さんのバングラでの事業の中心となっているアパレル工場も、そんな情報の中から生まれたものだ。

 

●バングラデシュにアパレル工場を設立、254人の雇用をつくる

繊維産業は全く経験がなかったが、経営という視点で不安はない。
里見さんは中西部のマグラ県に工場建設を決意した。しかし、電気も水道ないジャングル。今回ばかりは半端じゃない資金が要る。
開業資金約1億円のうち、里見さんが用意したのは4000万円。不足分を出資してくれる企業を探した。幸いギブ&テイクで事業に参加したいという日本企業を見つけ開業にこぎつけた。「出資したお金は3年以内に回収できるでしょう。逆転満塁ホームランは間近に迫っています」と里見さんは胸を貼る。

開業の式典には政府の要人やインドから副首相クラスの政治家も列席した。というのも、工場には現在254人の従業員が働く。これだけの雇用を創出した里見さんは英雄なのだ。
運営は沢田さんに任せている。オーナーである里見さんの仕事は、数字のチェックを含む経営判断。沢田さんとは毎日スカイプでやりとりしている。
この実績を機に世界のアパレルメーカーH&Mからも引き合いが来ているという。

 

————-

 

今回の発表に当たって里見さんは、自分が取材された現地の新聞を初めて日本語に訳してみた。そして驚いたという。
「私の会社が恵まれない女性たちの過去を変え、家族を含めると数千人に影響を与えた会社、初めて外貨を稼いだ企業として紹介されていたんです。姑からひどい扱いを受けていた女性が、仕事をすることで認められ人間としての尊厳を取り戻したとか、夫に捨てられて行くところのなかった女性が、一人の人間として社会貢献できて嬉しいといった声も取材されていて・・・経営者なのに、そんなことも知らずにいた自分がとても浅はかで恥ずかしくなりました。」
涙ぐむ里見さん。そして、こう付け加えた

「私のような者でも、こんなに人のお役に立てていることが嬉しい。私の貢献など微々たるものですが、彼女たちの給料が少しでも上げられるようにしたい」

 

発表を総活して木村会長は次のように話した。

「里見さんは真の起業家だ。私たちは里見さんから学ぶことがある。それは、リスクを抱えて怯まずチャンスに挑んできたことだ。起業家を目指すならば、失敗を恐れず、リスクをかけて変化に向かっていってほしい」。

人前で話すのが大の苦手だったという里見さん。

「65歳のいままでスピーチといえば逃げ回ってきましたが、これではいけないと覚悟して3カ月前から木村塾の塾生になったんです。今回このような場を与えていただいたことに感謝します。何事にも代えがたい財産になりました」

最後まで誠実な人柄が伝わるスピーチに、惜しみない拍手が贈られた。

レポート:池永さん

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